スーパーヨウ素炭誕生<ヨウ素炭からスーパーヨウ素炭の時代へ>

 

スーパーヨウ素炭誕生<ヨウ素炭からスーパーヨウ素炭の時代へ>

スーパーヨウ素炭の開発

清水建設の研究所では、「ヨウ素炭」が一層炭としての能力を持っている
ものの、塩基性ガス、中性ガスに対する吸着能力をさらに高められれば、
もっと使い勝手の良い活性炭になると考えておりました。

そこで「ヨウ素炭」の特許が切れる平成18年1月を見据え、
「ヨウ素炭」の特長である「一層炭」としての性能をさらに高めた、
新しい活性炭の開発に平成15年1月より取り掛かりました。

もちろん昔から使い古され、いろいろ研究されつくされている吸着材料である
活性炭の改良は、とても難しいということは覚悟の上でのスタートでした。
まず、何故「ヨウ素酸」を添着した「ヨウ素炭」は他の添着炭に比べ
複合臭気に強いのだろうか、「ヨウ素酸」はどんな役割を果たしているのだろうか、
これら脱臭のメカニズムの解明のため、新たに実験に取り掛かりました。
約1年間の試行錯誤の結果、ある工夫を加えることで「ヨウ素炭」の性能を
更に向上させられることが分かり、実験を繰り返した結果、
従来の「ヨウ素炭」に比べ、酸性ガス用、塩基性ガス用、中性ガス用の
3種類の専用活性炭のいずれのガスの吸着量をも大幅に超える活性炭
出来上がりました。

清水建設はすぐにこの試験結果をまとめ、特許出願(平成15年12月)を行い、
その後平成22年12月特許を取得しました。
(特許番号 第4639276号 : 脱臭剤、その製造方法および脱臭装置)

この活性炭は「スーパーヨウ素炭(i-DAC)」と命名され
、 その販売はアイダッシュ株式会社に委ねられました。

「ヨウ素炭」の問題と「スーパーヨウ素炭」の改良点

新たに実験を繰り返した結果、「ヨウ素炭」に添着している「ヨウ素酸」 役割と問題点が徐々に見えてきました。

それは、臭気ガスの中に硫化水素のような還元性の強い臭気成分が多く 含まれていますと、
酸化剤として機能する「ヨウ素酸」選択的に消耗され、
中性成分(硫化メチル、二硫化メチル)の除去に有効に機能しなくなるという問題です。
つまり中性成分の除去機能を高めるには、酸性成分の除去に要する 「ヨウ素酸」の消費量をいかに抑えるかが重要であるということがわかりました。
試行錯誤の結果、「スーパーヨウ素炭」はこの問題に対し、
「金属ヨウ素」 を同時に添着することで、
硫化水素を吸着した部分が触媒となるような機能を持たせ、
一種類の活性炭(スーパーヨウ素炭)で 硫化水素、メチルメルカプタンのような酸性成分に対しては酸化触媒として、
硫化メチル、二硫化メチルのような中性成分には「ヨウ素酸」が強力な酸化剤として、
またアンモニア、トリメチルアミンのような塩基性成分に対しては、
無機酸(硫酸、塩酸、等)が中和剤としての機能を発揮できるように改良しました。

「スーパーヨウ素炭」による脱臭機能

「スーパーヨウ素炭」は、一種類の特殊活性炭ではありますが、
ヨウ素酸(HIO3)のほかに金属ヨウ素(I2)を添着することにより、
最初に還元性の強い硫化水素と反応した部分が脱硫化水素触媒として 作用し、酸化剤であるヨウ素酸(HIO3)が硫化水素により消耗されないように
バリアとして機能するように調整されております。
この調整のために工場内に新たな専用炉を設け、
金属ヨウ素、 ヨウ素酸、無機酸の添着量、添着順番、効率的な添着方法等について 実験を繰り返し行い、
最も効率のよい製造方法を見出すのに かなりの時間を費やしました。
この結果、ガスの上流側では脱硫化水素触媒、下流側では硫化メチルなどの 中性成分に対して強力な酸化剤として分担して機能する、
言わば2段階吸着方式と言える吸着性能の大幅に改善された 「スーパーヨウ素炭」が出来上がりました。

「スーパーヨウ素炭」の優位性

ここで改めて「スーパーヨウ素炭」の活用による脱臭の優位性を整理してみますと、

1.「スーパーヨウ素炭」は、一種類の活性炭で脱臭処理することができることにより、 脱臭装置の構造が非常に簡単になり、設備費が小さくなるのみならず、 交換頻度も少なくなることで維持管理費が低減し、総合経済性が向上します。

2. 使用済みの「スーパーヨウ素炭」は再生し、ヨウ素酸等を再添着することで、 繰り返し使用することができます。 また添着されていた「ヨウ素酸」は回収システムの確立により 「ヨウ素」として取り出し再利用することができます。

3.「ヨウ素酸」は強力な酸化剤でありますが、腐食性や毒性が弱く、 非常に安全に使用することができます。

4. 特殊製法により、ヤシガラ系活性炭、石炭系活性炭、木質系その他活性炭など 殆どの活性炭に添着加工することが可能です